やり切ったスタッフからの熱い思い Rev 0.41
〜 多摩区総合防災訓練に取り組んで 〜
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image 多摩区総合防災訓練に参加して
情報広報班 樫本 光一

 避難所運営会議に携わり一年半になるが、以前は自治会で、各小中学校の避難所で救急救命、地震体験等、部分的な訓練に何度か参加した。

 今回の多摩区総合防災訓練では、避難所を開設する未知へのチャレンジで、情報広報班担当として、避難所メンバーからのご指導を受けながら、ほぼ1年間準備を進めてきた。情報広報班の主な役目は、外部公共機関、自治団体からの情報入手、避難所の皆さんに、インフラの状態、避難所の収容人数、負傷者、ルール、イベント等々を分かりやすくお伝えすることである。

 準備を進める中で、わかりやすいマニュアルと「避難所開設キット」の設置が重要であると感じた。この両者があると素人でも、どのような事をするのか、ある程度想像できる。

 実際の訓練では、ホワイトボードにインフラ情報や避難所の様子などを掲示した。来場者には、一部マニュアル化した表に情報を再記入してもらい、地域外団体の写真撮影や質問が多数あった。

 今回のマニュアル表は行政担当からのご指導によるものだが、災害時にメンバー全員が集合できる保証はなく、担当が変わっても同じ表記ができるマニュアル表の必要性を強く感じた。

 またこの経験は、おぼろげだった避難所開設のプロセスを実体化するものであり、災害時における行動に、すこしは自信を持たせるものであった。
以上


image 多摩区総合防災訓練 救護班として参加して
救護班 班長 寺澤 由美

私は避難所運営会議で活動するようになって6年目になります。
最初のきっかけは、マンションの防災理事としての参加でした。
ちょうど東日本大震災の影響で、避難所運営会議の活動が、それまでとは違い活発になり始めたころです。
私にとって避難所は、娘が盛岡で震災にあった時に、お世話になったこともあり、とても身近なものでした。その時に交通機関も使えず、高齢の両親を介護していた私は、側に助けに行ってやりたくても出来ない辛さを経験しました。また、娘の話から避難所の様子を聞き、近隣との助け合い、繋がりの大切さを学びました。親でも離れていては「どうか私の代わりに娘を支えて下さい」と願うことしか出来ないのですから。
そんなこともあり、『避難所や地域の繋がりのために、何か出来ることはないか』という思いだけで、1年の理事の期間をすぎても、そのまま残り 活動に参加しています。両親の介護に関わっているおかげで、高齢者の方々との関わりも多く、これからの避難所は高齢化社会の中、高齢者目線も大切と感じ、少しでも経験が役立てばとの思いです。
後任の理事も残って下さるかたが多く、現在5名が中心になって救護班は活動しています。

さて前置きはこのぐらいとして、避難所の初めての訓練が多摩区総合防災訓練という大きな訓練に決まった時には「ヤッター!」と思いました。
地域だけの訓練ではないので、マニュアル通りにはいかないけれど、大きな訓練だけに、この機会に地域住民だけでなく、地域の団体の方々とも繋がりを作り地域が一つになることができる。(これは6年前からの私の願いでした)
また、私たちの伝えたいことが、やっと伝えられる場ができるとの思いでした。

班長になった私は、準備に入る前に、色々考えました。
今回与えられた多摩区総合防災訓練という大きな機会に、
  1. 『これだけは伝えたい』と思うものは何か?
  2.  避難所運営会議では、この5年間「避難所を最初に開設するのは、行政でも避難所運営会議のメンバーでもなく、最初に避難所に来た人たちである。そのために私たちは、誰でも開設できるようなマニュアル作りと備蓄の準備をしなければならない」を目標に、多摩区役所危機管理担当の力もお借りしながら、新しいマニュアル作り、スムーズに会場準備ができるような、班ごとのスターターキット作りをしてきました。

    『地震が起きたとき、みんな同じ被災者です。だから、最初に避難所に集まった人達で立ち上げます。今、避難所運営会議では、誰でも出来るように、わかりやすいマニュアル作りや備蓄の見直しを進めているところです』を伝え、地域の方々にも自分たちのこととして考えて欲しいと願いました。
    救護班としては、『開設時の簡単な救護班の流れと日常生活での心得を一つ』にしぼり、お伝えしました。一回に沢山の事は伝わりません。一つ一つ伝えていけば大丈夫と思います。
    救護班の流れの中で特に伝えたかったのは、創作センターの受け入れ該当者についてでした。生田中学校避難所には体育館の他に創作センターがあります。そこを救護班は使います。誰でも利用できるわけではありません。
    『創作センター受け入れ該当者とは?⇒ケガの治療が必要な方・感染の恐れのある病気の方・体育館での生活が困難な要介護者・妊婦・乳児と同伴者・障害のある方々で、基本は体育館である。』ということです。

    また日常の心得として、お伝えしたかったのは、お薬手帳の大切さです。
    『災害は、家の中にいる時だけではありません。外出先でも起こります。早く正しい対応をして頂くためにも、お薬手帳には、持病・アレルギー・緊急連絡先などを記入しておくと安心です。また薬局から頂ける薬の説明書もあると助かります。『お薬手帳はいつも自分の側に』を記憶に残して頂けたら嬉しいです。』薬の説明書なら、対応する者が素人でもわかりやすく、マイナスになる対応を少しでも避けることが可能です。
    さて、それをどんな方法で伝えるか。
     当日の様子は、やってみないとわからない状況。私が、救護班の体験の最後に話す予定にはしていましたが、話が上手くいかない場合もあります。
    そんな場合でも、創作センターに入場された方には全員にお伝えできるように、救護班独自のチラシを作成して、救護班受付で配りました。

    image image

  3. 地域の施設・団体との繋がりを作るにはどうしたらいいか?
  4.  避難所にとって、日頃から地域の中で、人との関わりを大切にしていらっしゃる施設や団体の方との繋がりは大切です。また、高齢社会の中、高齢者の対応に慣れていらっしゃるのも心強いものです。
    この地域でも沢山の方々が、日々住民の方々のために頑張っていらっしゃいます。救護班の応援だけでなく、避難所全体のためにも声掛けをしました。

    <救護班受付では、4つの役割に分かれて活動しました>
    救護班のチラシ配り・スタンプ係・車イス係
    『NPO法人コスモスの家』(長い間、三田で高齢者等のお世話をしていらっしゃいます)から3名参加して頂きました。慣れない私たちに、マイクも提供して下さいました。有難うございました。また『これからも、当日なら協力できることもあるので声かけて下さい』とのお言葉をいただきました。有難うございます。

    また今回は住民の方に病人役・ケガ人役・問診役(スタッフ役)を体験して頂くため、役割カードをお渡しする係救護班2名が担当しました。

    <体験コーナー>は、救護班2名がスタッフとして付き、老人保健施設『三田あすみの丘』から3名(施設長・看護師長・相談員)参加して頂き、『三角巾と段ボールを使って腕の骨折対応と嘔吐患者の対応(受付から車イスで治療場所へ移動)』を教えて頂きました。
    救護班のメンバーは、事前に三角巾の練習をしないでチャレンジ!
    私も25年ぶりに体験しました。
    三田あすみの丘さんには、お忙しい中、打ち合わせにも何回も来て頂いたり、打ち合わせの場所を提供して頂いたり、当日は車イスを提供して頂いたり、骨折に使用する添え木まで、段ボールで手作りして頂きました。有難うございました。
    また、『これからも声をかけて下さい』とのお言葉もいただきました。
    有難うございます。

    また、同じ体験コーナーでは、『多摩区役所 衛生課』の3名の方による『嘔吐物処理の対応』も教えて頂きました。ここでは、防護服の大切さも、実際に使って教えて頂けて、救護班も勉強になりました。
    救護班のマニュアルには、受け入れ前の準備として、防護服・手袋・マスクの着用をすすめてます。世話をする方も感染を防がないと危険です。

    全体のお手伝いには、『多摩区役所 みまもり支援センター』より、2名の方が忙しい中、応援に来て下さいました。

    参加して頂いた皆様は、日頃から住民の方々を相手に頑張っていらっしゃる方ばかりで、さすが!私たち救護班よりも、お話も対応も上手で、沢山学ばせて頂きました。

    当日、訓練が始まる前に、スタッフの皆さんに伝えた言葉があります。
    『今日は失敗有でOK! でも震災が起きた時、ここに来る住民の方々は、沢山の不安を抱えたり傷ついてます。今日は、そんな方たちを優しい笑顔で迎えて差し上げるのを目標にやりましょう』優しい笑顔は、相手に安心感を与えます。

    当日の朝まで変更があったり、当日初めて参加されたり、分からないことがいっぱいのままのスタートでした。
    でも震災の時は、全員初めてかもしれないのですから、それも一つの訓練。
    実際の時は、もっとパニックの人であふれるのですから、この訓練の中でのドタバタは、きっと良い経験になったと思います。

    他にも参加してくだっさた方々が沢山いらっしゃいます。紹介します
    避難所には、こんな場所、こんな人の役割も必要と聞きます。
    自分の話を寄り添って聞いて欲しい ⇒ 傾聴ボランティア
    お茶を飲みながら、ゆっくり話ができる場所 ⇒ 休憩所(交流の場)
    今回、創作センターには、<飲み物提供訓練>のブースも作りました。
    こちらは、三田にあるコミュニティーカフェ『みた・まちもりカフェ』にお願いして、飲み物と長期保存のバームクーヘンの提供をして頂きました。
    前日から準備して、当日は5名で頑張って下さいました。
    避難所を見て体験して終わりではなく、お茶を飲みながら、まわりの方々と防災について話をして、少しでも防災意識の向上、コミュニケーションにお役にたてたのなら嬉しいです。結果、大好評で席が足りないくらいで、ゆっくりできなかった方、飲めなかった方、ごめんなさい。
    カフェの方からは、『とても良かったと思います。また、必要な時は声かけて下さい』とのお言葉をいただきました。有難うございます。
    また、打ち合わせの場所提供をして頂きましたことも併せてお礼申し上げます。

    また、創作センターには、<多摩区役所の衛生課お薬手帳に関する>ブースもあり、こちらも興味のある方が沢山いらっしゃいました。

    <体育館の方では>
    地域でご活躍の『元気サポート にこにこ2号店・4号店』『木下の介護 ライフコミューン生田』『未来倶楽部生田』の皆様で、ブースを設け、それぞれ住民の方との交流を楽しみながら、参加して下さいました。
    また、『ボーイスカウト川崎46師団』の方々もブースを設け、三角巾の講習をして下さいました。
    皆さんには、私から声をおがけしたのに、体育館には時間内に行くことができず、申し訳ありませんでした。後日、様子をお聞きしましたところ、
    『住民の方々との触れ合いが とても楽しかったです。また機会あったら声をかけて下さい』とのお言葉をいただきました。有難うございます。
訓練結果のまとめ
<創作センター内>
*救護班ブース

 ・スタッフ 16名
   ・救護班 5名
   ・多摩区役所 衛生課 3名
   ・多摩区役所 みまもりセンター 2名
   ・老人保健施設 三田あすみの丘 3名
   ・NPO法人 コスモスの家 3名
 ・来場者  約300名(救護班チラシ286枚配布)

*飲み物提供訓練
 ・スタッフ 5名

   ・みた・まちもりカフェ
 ・来場者  約300名

<体育館内>

   ・元気サポート にこにこ2号店・4号店
   ・木下の介護  ライフコミューン生田
   ・未来倶楽部生田
   ・ボーイスカウト川崎46師団

<ポスター掲示協力>
地域の沢山の店舗(約20店舗)に快くご協力して頂きました。
各店舗にホームページ掲載許可をとっていませんので、ここには店舗名を掲載しませんが、記録には残させて頂きます。
心より、ご協力のお礼申し上げます。 *ポスター掲示をお願いすることで、避難所のことを少しでも話せたことは、良かったと思います。優しい地域ですね。

<最後に>
私の中では、この訓練は、上手に仕上げるのではなく、少しでも多くの方に避難所運営会議(避難所)を知ってもらい、避難所・住民・地域施設・団体・店舗等と交流して、地域がひとつになって頑張れる町になるが目標でした。
日頃からの繋がりが、本当に震災が起こった時に役立つと願います。そして、高齢化が進むなか、私たちの地域には、こんな優しい施設・団体があり、人がいることを知って頂き、これからの日常生活にも役立てていただけたらと思います。
多摩区役所の皆様には、何度も質問・相談。確認の相手をして頂き、お世話をおかけしました。なかなか最初は理解ができないこともありましたが、経験して少しは皆さんの思いに近づけたのなら嬉しいです。有難うございました。
避難所運営会議の皆様、救護班も同じ体育館だったらなと思う時もありました。
でも、沢山の応援者に助けられ、なんとかやることができました。
救護班の関係者の皆さん、支えて下さって本当に有難うございました。
皆さん、これからも宜しくお願い致します。
以上


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updated on February 15, 2018/h.Yuji